規律とトレーダー 相場心理分析入門 マーク・ダグラス著

この本は投資指南本ではなく、コンスタントに利益を積み重ねるトレーダーになるために必要な資質・心構えについて書かれています。投資の本なのに、アイデンティティの定義やら心とは何かといった宗教的・哲学的・心理学的要素が多分に含まれる内容となってます。


50Pくらい読み進めると、内容が回りくどくて繰り返しになるので後半流し読みして読み終えましたが、内容としては目から鱗とはいかないまでも、心に響く指摘が多く含まれる良書だと思います。



・マーケットは一般社会の常識が全く通じない
⇒一般社会であれば、勉強して努力すれば地位や評価がついてきます。一般社会に対しては自分の望ましい方向にベクトルを向ける、又は好ましくない方向にいかないように働きかけることはできます。しかしマーケットは、自分が時間や労力を傾けたところで報われるわけでもない。ほぼ100%のトレーダーは、相場に対してどんなに頑張っても無力であり、相場に従わざるを得ません。自分が相場に対して、膨大な時間を費やして勉強しても、そのこと自体を相場が評価してくれることはない。


・相場で利益を上げる絶対条件は自分を信じれるということ。
⇒自分の信念や願望、恐怖、不安といった心の大きな振幅があってはならないということを、何度も述べています。トレーダーとして利益を出し続ける必須条件とまで言い切っておられれます。トレードに恐怖や不安、期待、願望が強ければ判断を鈍らせる。自分にとって好ましい情報にのみ価値をおいて、不都合な情報から目を背けるようではダメで、どんな情報も取り入れて柔軟にそしてクールに対峙すべきということが大事。恐怖や信念・願望などでトレードの際心の安定が乱れるようでは、安定して利益を上げられるトレーダーにはなれない。



・恐怖や信念がもたらす悪影響
⇒過去の損失の体験から恐怖心があると、冷静にみればまだ上がり続けるだろうとチャートや外部情報では判断せざる得ないくらい条件がそろっているのにわずかな利益で手仕舞ってしまう。過去大きな利益を上げて信念や願望が強ければ、損失が拡大し、どう読んでもチャートや外部から情報が下げ続けると警告しているにも関わらず、自分の信念や都合のいい情報にのみとらわれて損切れず利益の大半をはきだしたり利益以上の損失に耐え切れなくなり無念のうちに手仕舞いを余儀なくされる。それは、恐怖を生み・・以下無限ループになってしまう。このサイクルから抜け出すことが大事。言い換えれば相場に従って、相場が下げると自分に語りかけてきたら損切り、相場が上げると語りかけてきたら自分を信じてポジションし続ける。そのトレードに対して迷いなく、100%自分の判断を損切りにも利益確定にも信頼して実行できることが大切。



プロのトレーダーであっても、こういった心構えが完成されているのは稀だそうです。


そして、利益を上げ続ける優れたとレーダーは必ず自分を信頼してるし、恐怖や信念に流されることはないんだそうです。他人の助言を信じていれば利益が上がったトレードがあったとしても、自分を信じてトレードした結果、厳格に損切りを実行したら自分を褒めるんだそうです。


自分には、まだそれだけの自信など到底ないけれど、いづれは息を吸って吐くかのごとくトレードできるようになればいいなと考えさせられました。